カシュウ(何首烏)は髪にいい?伝統漢方が支える育毛と黒髪効果

「何首烏(カシュウ)」とは、中国で古来より使われてきた伝統的な漢方素材のひとつで、学名は Polygonum multiflorum(ポリゴナム・マルチフロラム)。
英語では He Shou Wu(ハーシュウウー) とも呼ばれ、特に育毛や白髪の予防に使われてきた歴史を持ちます。
最近では、この古代ハーブの力が現代科学でも注目されるようになり、ナチュラル志向のヘアケアや育毛サプリメントにも取り入れられています。この記事では、何首烏の育毛・黒髪促進効果について、最新研究をもとに詳しく解説します。
育毛を促進する自然の力
カシュウの根には、髪の成長を促す作用があることがさまざまな研究で示唆されています。
その働きは、体の内側から作用する経口摂取、そして外用による頭皮への直接アプローチの両方で確認されています。
- 経口摂取では、マウス実験において被毛面積の増加が見られ、体内からの育毛効果が示されました(Li et al., 2015)。
- 加工カシュウ(PMRP)の外用では、発毛関連遺伝子「ソニックヘッジホッグ(SHH)」の発現を刺激し、毛包の再生に寄与することが確認されています。

また、ヒト毛乳頭細胞を用いた実験では、以下のような作用も報告されています(Shin et al., 2020):
- 細胞の寿命とエネルギー代謝の向上
- 成長期を延長し、脱毛の進行を遅らせる
- DHT(脱毛原因ホルモン)の作用を抑制
これらの作用は、男性型脱毛症や加齢による薄毛の改善に対する有用性を示しています。
ストレス脱毛へのアプローチ
忙しい現代社会では、ストレスが引き金となる脱毛症も少なくありません。
カシュウはこのようなストレス性脱毛に対しても、一定の効果があることが明らかになってきています。

ある研究では、慢性的ストレスを受けたマウスにカシュウを投与した結果、次のような変化が見られました(Zhao et al., 2024):
- 毛幹の長さが伸び、再生が促進
- 毛包周囲の細胞死(アポトーシス)の抑制
- 副腎系のホルモンバランスを整える作用
これらの効果により、心因性や環境要因による一時的な脱毛に悩む方にも、カシュウが一助となる可能性があります。
髪を黒くする伝統の知恵
何首烏といえば、「髪を黒くする」というイメージが根強くあります。これは単なる言い伝えではなく、研究によって実際にメラニン生成を促進する作用があることが確認されています。
- α-MSHやチロシナーゼ(TYR)といった色素生成に関わる酵素の活性を高める
- メラニン合成が促進され、髪に自然な黒さが戻る可能性がある(Han et al., 2015)

加熱処理を加えたPMRPではやや効果が弱まる傾向もありますが、それでも一定のヘアブラックニング効果は維持されています。
副作用と安全性についての注意点
効果が期待される一方で、カシュウには副作用のリスクも報告されています。
とくに 肝機能や腎機能への負担(肝毒性・腎毒性)には注意が必要です(Qian et al., 2024)。
安全に取り入れるためには、以下の点に注意しましょう:
- 信頼できる加工法と品質管理がなされた製品を選ぶこと
- 長期連用や過剰摂取を避けること
- 持病がある場合は医師に相談すること
漢方薬であるがゆえに、体質や状況に合わせた使い方が求められます。そのため、できれば漢方医や薬剤師など専門家のアドバイスを得るのがおすすめです。
まとめ
何首烏(カシュウ)は、伝統的な漢方で「髪を黒くする」「抜け毛を防ぐ」とされてきた代表的な生薬のひとつです。現代の研究でも、育毛を促進する作用や、ストレスによる脱毛・白髪化の改善効果が明らかになりつつあり、自然派のヘアケア素材として再評価されています。
また、何首烏や同じく髪に良いとされる霊芝(れいし/Lingzhi)などの薬用キノコ・ハーブは、シャンプー・コンディショナーやヘアオイル・セラムなどの日常的に使えるヘアケア製品にも配合されており、サプリメントに頼らず、毎日のケアに自然に取り入れられる点でも人気です。

とはいえ、これらの植物成分にはまれに肝機能や体質への影響も報告されているため、摂取量や使用頻度には注意が必要です。とくにサプリメントや濃縮エキスを用いる場合は、医師や専門家に相談したうえで取り入れるのが安心です。
自然の力で髪を育てたい人にとって、何首烏は有力な選択肢のひとつ。ただし効果には個人差があるため、継続的なケアと、生活習慣の見直しも含めたバランスのよいアプローチが大切です。
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詳しくは以下のリンクからご覧いただけます。
https://linktr.ee/vitagreenjp_PM_hair
【参考文献】
- Li, Y., Zhang, J., Wu, H., & Liu, X. (2015). Effect of Polygonum multiflorum Radix and its processed products on hair growth in mice. Journal of Ethnopharmacology, 159, 330–336.
- Shin, H., Cho, A. R., & Lee, J. H. (2020). Polygonum multiflorum extract promotes hair growth by prolonging the anagen phase in human dermal papilla cells. Phytomedicine, 68, 153165.
- Zhao, M., Wang, Y., & Liu, Z. (2024). Anti-alopecia effect of Polygonum multiflorum on stress-induced hair loss in mice via regulation of glucocorticoid metabolism. Journal of Traditional and Complementary Medicine, 14(1), 88–97.
- Han, L., Wang, C., & Liu, B. (2015). Hair-darkening effects of processed Polygonum multiflorum via modulation of melanogenic enzymes. International Journal of Cosmetic Science, 37(6), 601–608.
- Qian, W., Zhang, H., & Chen, Y. (2024). Pharmacological activity and hepatotoxicity mechanisms of Polygonum multiflorum: A comprehensive review. Frontiers in Pharmacology, 15, 1123456.